ASUSのマザーボードでセキュアブートを有効化しようとした際、「有効にならない」と悩んでいませんか?
特にWindows11を利用している方にとって、セキュアブートの設定は非常に重要です。
しかし、CSM(Compatibility Support Module)が有効のままだと、セキュアブートは機能しません。
CSMが無効だとどうなるのか、逆に有効なままだと何が問題なのか、理解しておく必要があります。
また、セキュアブートを有効にするとどうなるのかを知ることで、導入のメリットも見えてきます。
この記事では、ASUSでの設定手順や注意点、Windows11での確認方法までを丁寧に解説します。
セキュリティ強化とOSの安定動作のために、正しい設定を行いましょう。
ASUSでセキュアブートを有効化する手順
- セキュアブートの状態 userとは?
- セキュアブートキーの役割とは?
- CSMを無効にする方法と手順
- CSMが無効だとどうなる?
- セキュアブートが有効にならない理由
セキュアブートの状態 userとは?

セキュアブートの設定画面で表示される「ユーザー(User)」という状態は、システムにセキュアブートキーがすでに登録されていることを意味します。
これは、セキュアブートを有効にするための前提条件の一つであり、セキュリティの観点から非常に重要な要素です。
多くのASUSマザーボードでは、UEFI BIOS内の「Secure Boot」設定項目に「セキュアブートの状態(Secure Boot state)」が表示されます。
この状態が「User」となっている場合、セキュアブートキーがすでに読み込まれており、セキュアブートの仕組みが有効化できる準備が整っていることを示しています。
一方、状態が「Setup」の場合は、セキュアブートキーが未登録であるため、有効化の前段階で止まっている状態です。
ここで注意すべきなのは、「User」という表示があっても、実際にセキュアブートが有効になっているとは限らない点です。
あくまでこれは、セキュアブートを有効にできる条件の一つが満たされているというサインであり、OSタイプの設定やCSMの有効/無効といった他の項目も合わせて適切に設定されていなければ、最終的なセキュアブートの有効化には至りません。
このように、セキュアブートの状態が「User」であるかどうかは、UEFI起動とセキュアなブート環境を構築する上での基本情報になります。
設定を進める前に、まずこの状態を確認しておくことが重要です。
セキュアブートキーの役割とは?
セキュアブートキーとは、システムの起動時に実行されるソフトウェアやドライバが、信頼できるものであるかどうかを判定するために使われる「検証用のデジタル署名キー」です。
これらのキーは、主にマザーボードのUEFIファームウェアに保存されており、セキュアブート機能の中心的な役割を担っています。
具体的には、PCを起動する際に読み込まれるすべてのコード(OSローダーやドライバなど)が、マイクロソフトなど信頼された発行元によって署名されているかどうかをこのセキュアブートキーが照合します。
もしも署名が不正、あるいは未知のものであれば、そのコードの実行はブロックされ、セキュリティ上のリスクからシステムを守ることができます。
このように、セキュアブートキーは、マルウェアやルートキットのような悪意あるソフトウェアがシステムの起動プロセスに侵入するのを防ぐために存在しています。
一方で、セキュアブートが無効である場合、これらの保護が働かず、未署名のコードも自由に実行されてしまうため、脆弱性のリスクが高まります。
注意点として、カスタムOSや特定のツールを使う場面では、セキュアブートキーがそのソフトをブロックしてしまうこともあります。
このような場合は一時的にセキュアブートを無効にしたり、カスタムキーを登録する必要が生じることもあります。
したがって、セキュアブートキーはただの設定項目ではなく、OSの信頼性とシステムの安全性を左右する重要なセキュリティ機能の一部といえます。
CSMを無効にする方法と手順

CSM(Compatibility Support Module)を無効にするには、マザーボードのBIOS設定にアクセスし、いくつかの手順を踏む必要があります。
CSMは、古いレガシーブートを可能にするための互換機能であり、これが有効になっているとUEFIモードでのセキュアブートが動作しません。
そのため、セキュアブートを有効化したい場合は、まずこのCSMを無効にする必要があります。
手順としては、まずパソコンを再起動し、起動中にDeleteキーまたはF2キーを押してUEFI BIOS画面に入ります。
EZ Modeが表示された場合は、F7キーでAdvanced Modeに切り替えましょう。
次に、上部メニューから「Boot」タブを選択し、その中にある「CSM(Compatibility Support Module)」という項目を探します。
このCSM設定を「Disabled(無効)」に変更します。
変更後は、F10キーを押して設定を保存し、再起動を行います。
これで、PCはUEFIモードのみで起動するようになり、セキュアブートの有効化が可能な状態になります。
ただし、ここで注意すべき点があります。
CSMを無効にすることで、レガシー形式(MBR)でインストールされたWindowsは起動できなくなる可能性があります。
特に古いOSやツールを使っている場合は、事前にディスクの形式(GPTかMBRか)やインストール方法を確認しておく必要があります。
このように、CSMを無効にすることはセキュアブートの前提となる重要なステップですが、システム構成やOSの状態によっては慎重な対応が求められます。
事前にバックアップを取るなど、安全策を講じたうえで設定変更を行うことが大切です。
CSMが無効だとどうなる?
CSM(Compatibility Support Module)を無効にすると、パソコンの起動方式が完全にUEFIモードへ移行します。
これにより、従来のレガシーブート方式が無効化され、UEFIに対応していない古いOSや一部のハードウェア・ドライバは起動できなくなります。
本来、CSMはレガシーなソフトウェアやデバイスとの互換性を保つための機能です。
CSMが有効になっていると、UEFIと古いBIOS互換モードの両方を使い分けることが可能になります。
しかし、Windows 11をはじめとする最新のOSは、UEFIモードを前提に設計されており、セキュアブート機能を活用するためにはCSMを無効にすることが求められます。
CSMを無効にすると、GPT(GUIDパーティションテーブル)形式のディスクからのみ起動可能となり、MBR(マスターブートレコード)形式のディスクは認識されません。
これにより、MBRでインストールされた旧OSは起動不可となり、再インストールが必要になる場合があります。
一方で、CSMを無効にするメリットも多くあります。UEFIモードに完全移行することで、セキュアブートの有効化が可能になり、セキュリティが大幅に強化されます。
また、起動速度が向上し、最新のハードウェア機能も最大限に活用できます。
このように、CSMの無効化はセキュアブートやWindows 11の利用において不可欠ですが、既存のシステム環境との互換性が失われる点にも注意が必要です。
変更前には、OSのインストール形式やディスク構成をしっかり確認し、必要に応じてバックアップを取ることが推奨されます。
セキュアブートが有効にならない理由

セキュアブートが有効にならない原因は、BIOSの設定ミスだけではありません。
ハードウェア構成やOSのインストール形式、さらにはセキュアブートキーの登録状態など、複数の要因が関係しています。
最も多い原因のひとつは、CSMが有効のままになっていることです。
CSMがオンの場合、システムはレガシーブートを許可してしまうため、セキュアブートの動作条件を満たせなくなります。
これを解決するには、まずCSMを「無効」に設定する必要があります。
次に確認すべきは「OS Type」の設定です。
ASUSマザーボードでは「Other OS」が選ばれていると、セキュアブートは無効のままとなります。
正しくは「Windows UEFI Mode」を選ぶことで、セキュアブートが有効になります。
さらに、「セキュアブートキー」が未登録または不正な状態であることも原因の一つです。
BIOSのセキュリティ設定にある「Key Management」から、既存のキーをクリアまたは再登録することで改善する場合があります。
ただし、これは慎重に操作する必要があるため、マニュアルをよく確認してから行ってください。
また、OS自体がMBR形式でインストールされていると、UEFIモードでの起動ができず、セキュアブートも機能しません。
この場合は、ディスクの形式をGPTに変換し、OSを再インストールするか、変換ツールを使う対応が必要です。
これらを踏まえると、セキュアブートが有効にならないときは、単に1つの設定項目を見直すだけでなく、全体の構成やインストール状態を総合的に確認することが解決の鍵となります。
変更後は再起動と設定の保存(F10)を忘れずに行いましょう。
ASUSでセキュアブート有効化後の確認と対処法
- セキュアブートを有効にするとどうなる?
- Windows11での設定確認方法
- Secure Boot violationの直し方
- セキュアブートの状態が無効な場合の対処法
- セキュアブート有効化時の注意点まとめ
セキュアブートを有効にするとどうなる?

セキュアブートを有効にすることで、パソコンの起動時に信頼されたソフトウェアのみが読み込まれるようになります。
これは、OSローダーやドライバといった起動に必要なプログラムが、あらかじめ登録されたセキュアブートキーに基づいて検証される仕組みです。
この検証を通過しないソフトウェアは、起動時点で実行を拒否されるため、セキュリティリスクを大幅に抑えることができます。
この仕組みによって、マルウェアやルートキットのように、起動プロセスに入り込むタイプの悪意あるソフトウェアを事前にブロックできるようになります。
特に、Windows 11ではセキュアブートが必須要件として指定されているため、これを有効にすることでOS自体の要件を満たすことにもなります。
一方で、セキュアブートを有効にすることにはいくつかの注意点もあります。
例えば、Linuxディストリビューションの一部や古いデバイスドライバなど、セキュアブートに対応していないソフトウェアが正常に動作しなくなるケースがあります。
また、カスタムOSやツールを使用している場合には、セキュアブートによってそれらが起動できなくなる可能性もあります。
このように、セキュアブートを有効にすることで、システムの信頼性と安全性を高めることができますが、利用環境によっては対応状況の確認や一時的な無効化が必要になることもあります。
導入前には、自分の使っているOSやツールがセキュアブートに対応しているかを確認しておくと安心です。
Windows11での設定確認方法
Windows 11でセキュアブートの設定状況を確認するには、「システム情報(msinfo32)」というツールを利用します。
このツールを使えば、現在のシステム構成やセキュアブートの有効・無効の状態、BIOSの種類(UEFIかレガシーか)などを一目で確認できます。
操作手順はとても簡単です。
まず、キーボードの「Windowsキー + R」を同時に押し、「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
そこに「msinfo32」と入力し、Enterキーを押してください。数秒後に「システム情報」というウィンドウが表示されます。
ウィンドウの左側にある「システムの要約」を選択すると、右側にさまざまな情報が表示されます。
その中にある「セキュアブートの状態」という項目が、現在のセキュアブートの設定状況です。
「有効」となっていれば、セキュアブートは正しく機能しています。「無効」となっている場合は、BIOS設定を見直す必要があります。
また、「BIOSモード」という項目にも注目しましょう。
ここが「UEFI」になっていないと、そもそもセキュアブートを有効にすることはできません。
「レガシー(レガシーBIOS)」になっている場合は、OSのインストール方式やディスクの形式(MBRかGPT)を再確認する必要があります。
このように、Windows 11上から簡単にセキュアブートの状態を確認することが可能です。
トラブルシューティングの第一歩として、まずはこの情報を確認することをおすすめします。
Secure Boot violationの直し方

「Secure Boot violation(セキュアブート違反)」というエラーメッセージは、起動時に読み込まれたソフトウェアがセキュアブートの検証を通過できなかったことを意味します。
この状態では、OSの起動が妨げられるため、何らかの対処が必要になります。
原因として多いのは、署名されていないドライバやOSブートローダーが起動に含まれているケースです。
たとえば、セキュアブートに非対応のLinuxディストリビューションをインストールした直後や、非公式なツールを使用した際によく発生します。
このエラーを修正するには、いくつかのアプローチがあります。
まず、最も簡単なのはBIOS設定でセキュアブートを一時的に無効にすることです。
PCの起動時にDelキーやF2キーを押してBIOS画面に入り、「Boot」メニュー内の「Secure Boot」を「Disabled」に変更します。
その後、F10キーで設定を保存して再起動すれば、エラーは表示されなくなるはずです。
次に、セキュアブートを有効のまま運用したい場合は、「Key Management」からセキュアブートキーをリセットまたは初期化してみるのも一つの方法です。
ASUSマザーボードでは、「Install Default Secure Boot Keys」といったオプションを使うことで、正規のキーを再登録することができます。
また、システムがUEFIモードで正しくインストールされているか、OSの起動ディスクがGPT形式になっているかを再確認することも重要です。
特に古いOS環境からアップグレードした場合、MBR形式のままであることが原因でエラーが出ることもあります。
このように、Secure Boot violationが発生した場合は、セキュアブートの状態だけでなく、使用しているソフトウェアやインストール形式、ブートモードなどを総合的に見直すことが必要です。
適切な対処を行えば、エラーを解消してセキュリティを維持したままシステムを運用できます。
セキュアブートの状態が無効な場合の対処法
セキュアブートの状態が「無効」と表示される場合、システムがセキュアブート機能を利用できていない状態です。
この状況を改善するには、BIOS設定やOSのインストール形式など、複数の要素を確認し、適切に調整する必要があります。
まず確認すべきは、BIOSの起動モードが「UEFI」になっているかどうかです。
Windowsの「システム情報(msinfo32)」を開き、「BIOSモード」が「レガシー」となっていれば、セキュアブートは有効になりません。
この場合は、BIOS設定で「CSM(Compatibility Support Module)」を無効に変更し、起動モードをUEFIに切り替えましょう。
次に、BIOS内の「Secure Boot」の項目で「OS Type」が「Windows UEFI mode」になっているかを確認します。
初期設定では「Other OS」になっていることが多く、この設定だとセキュアブートが無効化されてしまいます。
正しくは「Windows UEFI mode」を選択してください。
また、「セキュアブートキー」が読み込まれていない、または破損している場合も無効状態になります。
このときは「Key Management」セクションで「Install Default Secure Boot Keys」などを実行し、マイクロソフトの既定キーを再登録することで正常化できる場合があります。
さらに、システムがMBR形式のディスクで構成されていると、UEFIブートが使えず、セキュアブートも機能しません。
その場合は、MBRをGPTに変換する必要がありますが、変換時にはデータ損失のリスクもあるため、事前のバックアップが重要です。
これらの確認と設定を一通り実施すれば、セキュアブートの状態が「有効」に切り替わるはずです。
設定後はBIOS画面で「Save & Exit」またはF10キーを押して変更を保存し、再起動してから再度状態を確認してみてください。
セキュアブート有効化時の注意点まとめ

セキュアブートを有効化する際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。
設定を誤るとOSが起動しなくなったり、一部のソフトウェアが使用できなくなったりすることがあるため、あらかじめ理解した上で作業を進めることが大切です。
まず、セキュアブートの動作には「UEFIブート」が前提条件となります。
CSM(Compatibility Support Module)が有効になっていると、UEFIブートが無効になり、セキュアブートを使うことができません。
そのため、CSMは「Disabled(無効)」に設定する必要があります。
ただし、CSMを無効にすると、レガシーブート対応の古いOSやデバイスが使用できなくなる点にも注意が必要です。
次に、OSがGPT形式のディスクにインストールされているかどうかも確認しましょう。
MBR形式でインストールされたWindowsではUEFIブートが機能しないため、結果的にセキュアブートも利用できません。
必要に応じて「MBR→GPT変換ツール」を使用するか、GPT形式でOSをクリーンインストールする必要があります。
また、セキュアブートを有効にすると、カスタムOSや未署名のドライバが起動時にブロックされる場合があります。
Linuxや特定のユーティリティソフトなどを使っている場合、これが原因でエラーが発生することがあるため、使用ソフトの対応状況を事前に確認しましょう。
さらに、BIOS上で「セキュアブートキー(Secure Boot Keys)」が正しく読み込まれていないと、セキュアブートが「有効」になりません。
このときは、BIOSメニュー内の「Key Management」からデフォルトキーを再インストールすることで解決できるケースがあります。
最後に、セキュアブートの設定変更を行う前には、現在の設定をメモしておくことをおすすめします。
万が一トラブルが起きた場合でも、元の設定に戻すことで復旧が容易になります。
このように、セキュアブートの有効化には準備と理解が欠かせませんが、正しく設定すればセキュリティを大きく向上させる効果があります。